夫婦関係がうまくいかず、別居を続けながら離婚を考えている方も多いと思います。ここでは、別居と離婚の関係をご説明します。

離婚が成立する別居期間

別居期間がどれくらい続けば、離婚が認められるでしょうか。

離婚に必要な別居期間

何年間別居期間があれば離婚が認められる、という明確な基準はありませんが、概ね3年から5年が一つの目安となります。もちろん、別居しなくても、夫婦が合意すれば離婚はできますので、あくまでも夫婦で離婚の合意ができず、別居が続いている場合の話しです。結婚してまだ5年に満たない、というようなケースでは、結婚してからの期間の半分以上別居期間が続いている場合には離婚が認められるでしょう。

有責配偶者の離婚請求の別居期間

婚姻関係が破綻した原因(有責性)が専ら自分にあるという配偶者を有責配偶者と言います。たとえば、不貞をした側の配偶者です。我が国では判例により、有責配偶者からの離婚請求は認められないものとされています。自ら破綻の原因を作っておきながら、離婚を求めるというのは、公平ではないからです。

しかし、有責配偶者からの離婚請求も、別居期間が長く続いた後であれば、破綻の期間が長い、という事情が離婚原因として認められ、離婚が認められることになります。

そのために要する別居期間は、これまでの裁判例などを見てみますと、概ね8年以上が目安と思われます。それぐらい長く別居したのなら、自分から破綻原因を作ったとしても、もう修復の見込みは皆無で、婚姻関係を継続しがたい重大な事由があると認められることになります。もっとも、有責性が許されるわけではなく、慰謝料の義務は別途の問題として残ります。

別居離婚を成立させるポイント

別居から離婚を成立させるためのポイントを見ていきます。

別居に至った正当な理由

夫婦には同居義務、相互扶助義務がありますから、正当な理由なく別居をすることはできません。そこで、相手から暴力やモラハラを受けて同居に耐えられない、といった別居せざるを得ない正当な理由が必要です。

別居することの同意を得る

そこまでの正当な理由がなくても、性格の不一致で一緒に暮らすのがいやになった、というような場合もあるでしょう。それで別居をする場合には、相手から別居することの同意が得られれば、それに越したことはありません。この場合、同意があることを示す同意書など、何らかの証拠を残しておくとよいです。

配偶者が浮気していた場合は証拠を確保

相手が浮気しているケースでは、できるだけ浮気の証拠を確保しておくべきです。興信所に依頼したり、スマホでのやりとりをおさえたりなどしておくと、別居後も離婚条件を有利に進めることができます。

離婚までの別居期間が長期になるケースとは

離婚が認められるために長期間の別居期間が必要となるケースもあります。

夫婦喧嘩や性格の不一致

単に夫婦喧嘩がよくあるとか、性格に不一致というだけでは、当の本人がいくら夫婦としてやっていけない、と感じていても、法律上離婚原因や別居の正当な理由とまでは認められません。ですので、相手が別居に応じない場合は、婚姻が破綻していると評価されるためには長期間の別居期間が必要になってきます。

自身が有資配禺者の場合

この場合も、先に述べましたとおり、有責配偶者からの離婚請求が認められるためには、相当長期間の別居がないと、婚姻が破綻していると評価されません。

相手が離婚に同意していない

相手が離婚に同意してくれなければ、最終的には裁判で離婚が認められる必要がありますが、裁判所が離婚を認めるためには、相当長期間の別居を理由として、婚姻が継続しがたい重大な事由があると評価されなければなりません。

離婚が認められない別居期問

いくら長期間の別居でも、離婚の原因と認められない性質の別居があります。

単身赴任による別居

たとえば単身赴任による別居です。これは、夫婦関係がうまくいかないから別居しているのではなく、仕事の上でやむなく別居しているわけですから、それだけでは離婚の理由としては認められません。

家庭内別居

同じ家で暮らしているが、生活空間が別室といった、いわゆる家庭内別居ですが、同じ家で暮らしている以上、それだけでは離婚の理由とは認められません。

短い別居期間で離婚を成立させるためには

単に別居しているというのではなく、別居しなければならなかった具体的な理由として、相手方に原因があるという事情をしっかり立証できるようにしておくと、より短い別居期間でも、離婚の理由として認められやすくなります。

まとめ

別居のご事情はご夫婦それぞれ、千差万別ですから、それぞれの事情に即して、できるだけ早期かつ有利に離婚が認められるには、専門家である弁護士にご相談頂くことをおすすめします。