お互い年を重ねてから離婚をされる夫婦も多くなってきました。こうした熟年離婚について、考えてみます。

熟年離婚とは

熟年離婚とは、夫婦お互い熟年と言われる年齢になり、結婚してから長年が経過した段階で離婚をするケースです。

熟年離婚の原因と特徴

熟年離婚にはどういった原因や特徴があるでしょうか。

定年後の生活にストレス(性格不一致、価値観)

よくあるのは、結婚してからずっと仕事をしてきて、定年を迎えたことにより、家で二人で過ごす時間が増え、それまであまり感じずに済んでいた、または感じていても我慢ができていた性格の不一致や価値観の相違が表面化し、そのストレスが耐えられないほどになってしまうケースです。

介護をしたくない

夫婦のどちらかが高齢によって介護が必要になってきたが、施設を利用するまでの程度ではなかったり、経済的な事情で施設が利用できない場合などで、配偶者に介護の負担がのしかかってしまうようなケースです。

セカンドライフ(妻側)

特に妻にとって、これまで子育てに手がかかっていたのが、子どもが独立して手を離れたことによって、やっと自分の好きなことができるようになったと思ったときに、夫抜きで自分のセカンドライフを満喫したい、と思うようになるケースです。

熟年離婚のメリット、デメリット

熟年離婚にはどのようなメリット、デメリットがあるでしょうか。

メリット

結婚してからずっと我慢してきたような事情がある場合、配偶者との関係を解消することでそうしたストレスから解放され、一人で好きなようにやりたいことができるセカンドライフを手にすることができるというのは、最大のメリットでしょう。

デメリット

高齢になった段階での離婚ですから、離婚後の経済的事情が大きな不安材料になります。老後の資金が十分にあればよいですが、新たに仕事を見つけて収入を得なければならないようなケースですと、困窮のおそれもあることが、最大のデメリットです。

また、子どもや親戚関係にヒビが入り、身寄りを失って孤独になるおそれがある場合もあります。

財産分与

離婚後の生活を考える上でも、財産分与はとても重要な問題です。

財産分与できるもの

財産分与とは、結婚してから夫婦で築いた財産を、離婚に際して夫婦で分けることです。夫婦で築いた財産には、婚姻中に貯めた預貯金や、保険料を支払ってきた保険、ローンを返済してきた土地建物、株式投資などをしてきた夫婦であればそうした株式等が含まれます。

財産分与の対象にならないもの

結婚前から夫または妻が持っていた財産や、婚姻中に夫または妻が自分の親などから相続した財産など、夫婦で協力して築いた財産とはいえないものは、夫または妻の特有財産として、財産分与の対象にはなりません。

熟年離婚の進め方

では、熟年離婚をしたいと思ったとき、どう進めていけばよいでしょうか。

協議離婚

協議離婚とは、夫婦両者の合意のもとで離婚届を作成して役所に提出することによって離婚する方法です。両者の協議によって離婚や離婚に伴う財産分与等の諸条件について合意ができれば、この方法で離婚することができます。

離婚調停

離婚調停は、両者の話合いだけでは合意ができなかったり、夫婦だけで話合いをすること自体が困難な場合には、家庭裁判所に離婚調停を申し立て、裁判所の関与のもとで話合いを進め、合意に至ったときに成立する調停調書に基づいて離婚する手続です。

離婚裁判

離婚裁判は、協議離婚も調停離婚も成立しなかったときに、離婚を求める側が家庭裁判所に離婚訴訟を提起し、審理により裁判所が民法に定められた離婚原因が証拠上認められると判断すれば離婚を命じる判決を下すことで、離婚が認められる手続です。

まとめ

夫婦の間で離婚が円滑に合意できれば問題ないのですが、それが難しい場合に、できるだけ早く、有利に離婚を進めるためには、ぜひ弁護士にご相談されることをおすすめします。

熟年離婚の場合、「性格の不一致」など、それだけでは仮に裁判になったときに法律上の離婚原因と認められないケースも多く、そうしたケースでは特に、いかに離婚成立に導けるか、弁護士の力に頼って頂ければと思います。