別居後離婚の話し合いをする間の生活費等はどうなるのでしょうか。ここでは、婚姻費用について解説します。

婚姻費用とは?

離婚をするために別居をはじめても、正式に籍が抜けるまで、つまり離婚が成立するまでの間は、法律上婚姻関係は続いていますから、夫婦間には婚姻関係に基づく扶養義務が続いていることになります。子どもがいる場合には子どもの扶養義務ももちろんあります。

この扶養義務に基づいて、収入の多い方から少ない方に対して、生活費を支払う義務があります。これを婚姻費用といいます。

婚姻費用の金額

婚姻費用は、原則として毎月払いとなり、その月額を取り決めることになります。月額は当事者間で合意できればいくらでもよいのですが、合意ができない場合や、合意の目安にするために、一定の基準があります。この基準は家庭裁判所のWEBサイトに掲載されている、婚姻費用の算定表によって、知ることができます。

この算定表に、婚姻費用を払う側(義務者)の年収額、婚姻費用を貰う側(権利者)の年収額、子どもの人数、年齢といった要素を当てはめることによって、婚姻費用の目安額を知ることができます。

婚姻費用の相場

上記の算定表によりますと、例えば、14歳以下の子どもが2人いるケースで、夫の年収が500万円、妻の年収が100万円のケースですと、夫が妻に支払うべき婚姻費用の月額は概ね10万円から11万円程度となります。

婚姻費用の請求が認められないケース

別居後は扶養義務に基づいて原則として婚姻費用が認められるのですが、これが認められないケースもあります。

自ら別居をした場合

正当な理由がないのに自分から家を出て別居したようなケースまで婚姻費用の支払いを認めるのは公平ではありませんから、この場合は認められません。但し、相手からのDVやモラハラに耐えかねて別居したようなケースでは、別居に正当な理由がありますから、婚姻費用は認められます。

自分が別居する原因を作った場合

たとえば自分が不貞をして別居したようなケースなど、専ら自ら別居の原因を作った場合も、そうした人に婚姻費用を認めるのは公平ではありませんから、婚姻費用は認められません。

相手側に支払い能力が無い場合

法律上婚姻費用の支払い義務があるといっても、現実に相手に支払能力がなければ、回収することは困難です。

婚姻費用の支払い期間

婚姻費用の支払い期間は、別居後、離婚まで、または別居が解消されるまでとされています。

支払い朔間

婚姻費用の支払期間は、別居後婚姻費用を支払うよう明確に求めたときから、離婚が成立するまで続きます。もし離婚ではなく、関係が改善して同居生活に戻れた場合は、同居がはじまるまでとなります。

離婚後に支払われていない婚姻費用

離婚が成立した後、その時点でそれまで支払われるべきだった婚姻費用に未払が残っている場合は、その未払分はもちろん請求することができます。

まとめ

離婚をするために別居をはじめるにあたっては、別居中の自分や子どもの生活費は切実な問題です。婚姻費用をしっかりと確実に確保するため、ぜひ弁護士へのご相談をおすすめします。